日曜日のお昼、普段の仕事をしていたら警察署からの電話。
「〇〇アパートの家主さんで間違いないですか〜?」
どうやら遠方に住まれる娘さんからの依頼で、父と連絡が取れないので確認してほしいと。
アパートの鍵ボックスを持ちすぐに出発。
運転中にいろいろと考えましたが、
普段その入居者に私が電話しても全く出ない人なのでいつも通り電源が入ってなくて娘さんの電話にも出ないのかな。と。
でも、歳も70過ぎてるし最後に声をかけた時には少し体調が悪そうだったかな、
もしかしたら?などと色々考えながらアパートの方へ向かいました。
到着したら警察官が3名ほどいて、なんだか真剣な表情をし、小走りで玄関の方へ。
初めての孤独死の現場に立ち会い
ご遺体は映りません
警察官に鍵をわたし、ドアを開け、2日前の新聞が下に落ちると共に、呼吸もできないような喉に刺さる匂いが漂いました。
大量の新聞がドアポストの下に落ちていて、新聞が開かれていない一番前のものは1週間以上前でした。
「14時13分 死亡確認」
まじかぁ。
そのあと、7人くらい警察官と刑事さんが来て中の写真とかをとっていきました。
なんやら、特殊なライト?をあてて足あとの痕跡がなく事件性がないかも確認していました。
中に入ってご遺体を見てもいいですか?と私が聞くと、かなり腐敗してるからやめときな?
といわれたので、ご遺体は直接見ていません。
エアコンが付いていたのですが、普通に中は暑く、虫がわき、ハエが窓にたくさんいました。
- 孤独死が起きた時の家主で行うこと
- 死後1~2週間あたりで孤独死が発覚した時の必要になる金額、請求額
- 孤独死保険について
孤独死の大家としての対応-実際におきた流れ
私の場合は、まずご遺族の娘さんから連絡が入り、「連絡が取れないんですけど外出している姿など最近みてませんか?」と。
不審に思った娘さんが直接警察へ電話し、警察から私に電話。
「〇〇アパートの家主さんですか?鍵をもって今すぐ来てください。」と
この時、家主であっても警察官の同行なしで勝手にドアを開けて家の中に入ると法律的にアウトなので、必ず警察官と一緒に入りましょう。
過去の事例で、滞納があり入居者と連絡が取れない時に、勝手に大家が入居中のところにはいって、
入居者に訴えられて多額の損害賠償を支払わなければいけなくなったこともあったそうです。
精密機械を置いていたらしく、家主が入ったことで壊れたから損害賠償金を払えと。
訴えられたら確実に負けます。
契約書を結んでいる以上、大家であっても勝手に入れません。
話がそれましたが、ご老人で一人暮らしで孤独死が懸念される場合、
「定期的に訪れ、返事がなかったら貸主が勝手にドアを開けてもよいことにする。」などの特約を付けるのもありですね。
私が立ち会った今回のケースでは、警察署の当直の人がご遺族に連絡していただきました。
ご遺族がいないケースは?
ご遺族とは別に連帯保証人がいたらその方になります。また、連帯保証人がいない場合だと、市などが埋葬などしてくれるところもあるそうです。(孤独死の現場に来ていただいた警察官に聞きました。)
自治体ごとに変わってくるので、独り身の高齢の入居者がいる場合は事前に確認しましょう。
刑事さんの人も来ていました。汗だっくだくで検証していました。
大家は帰ってもいいと言われたのですが、ご遺体が外の運び出されるまで気になったので残っていました。
死因によっては、すぐに引き渡しができないこともあるそうです。
今回のケースは老衰で、事件性がないと警察が判断したので、すぐに遺族の方に遺体の引き渡しが行われたそうです。
発見から翌々日には葬儀が行われて、その後、特殊清掃業者に見積もりに来てもらい一緒に立ち会いました。
契約書の内容をもとに、どこまで請求するのか、敷金はいくらでどれだけの請求をおこなうのかなどを確認しましょう。必要に応じて保険会社にも伝えましょう。
後ほど詳しく解説します。
引き渡しの判断も家主になります。
特殊清掃業者に聞いた情報ですが、匂いが残っていたら再度消臭作業をおこなったりすることもあるそうです。
遺品整理・特殊清掃・退去精算・家賃損失分の請求
4つの項目に分けて解説します。
今回どのように対応したかを紹介しますが、あくまでも一例として捉えてください。いろんなケースがありますので状況に応じて柔軟に対応する必要があると思います。
遺品整理
遺品の整理は基本的にご遺族の立ち会いのもと、価値があるようなものは買取業者、そのほかは残置物撤去業者に依頼します
中には、思い出の写真や手紙等があり、退去の手続きをしていない限りご遺族の同意なしで勝手に捨てるのは法律的にNGです。
一番良いのは、遺品整理時にご遺族も一緒に立ち会うこと。
私が対応した今回のケースは業者さんの日程があわずご遺族の方も遠方で仕事もあるということで私が立ち会うようにしました。
写真、手紙、書類等を除いて全て処分してもよい、気になるものが出てきたら連絡し、必要であれば郵送で送るという話になりました。
遺品整理、残置物撤去,エアコン取り外し等)
¥272,030-

特殊清掃
通常のハウスクリーニングと違う点は主に、匂いの消臭作業と、吐血などの汚れた部分の原状回復費用です。
今回亡くなられた場所が和室だったので、畳の撤去費用が一枚あたり1万円以上しました。
私の住んでいる地域ですと畳屋さんだと通常一枚1000円とかで処分してくれます。
匂いの消臭作業につきましては、和室6畳の部屋で約13万円ほどしました。
作業内容としては、部屋を閉め切ってから1週間ほど特殊な機械を使って光触媒除菌+オゾン消臭をするそうです。
請求金額(害虫駆除、光触媒除菌+オゾン消臭、ハウスクリーニング等)
¥606,100-

最悪のケースを想定して見積もりしてもらいました。
↓畳の下まで染み込んでいて全てをやりかえる時の費用になります。

退去精算
ご遺族との間に不動産屋が間に入ってくれるケースもあります。
仲介してもらった不動産屋に退去精算書類を作成してもらうなど、孤独死を経験している不動産屋に相談するのが一番心強いです。
借主の遺族、貸主のどちらが業者とのやり取りを行うかで敷金をどうするか変わってきます。
ほとんどの場合、契約書には「入った時と同じ状況に戻して退去する(ただし定年劣化は家主負担)」というような文言しか明記されていない場合が多く、最終的な判断は家主になります。
いつもお世話になってる不動産屋に相談してみたところ、基本業者とのやり取りは入居者の遺族が行い、全てきれいな状態で一緒に退去の立ち会いを行うそうです。
孤独死の場合、消臭作業をおこなったとしても、「やっぱりまだ匂いは気になるね。」と家主が納得せずに再度消臭作業を行うこともあったそうです。
ご遺族がいない場合(ご遺体の引き取る人がいない場合)は、連帯保証人に請求が可能です。その場合、極度額が限度となる場合が多いそうです。(現時点では賃料の20ヶ月分が一般的)
特殊清掃となると、原状回復だけで100万円単位のお金がかかってくるケースも多く、ご遺族に請求しても全額支払えないケースもあるので、それに備えて孤独死保険に入っておくのも◎ですね。
ご遺族に相続放棄されました
当初の予定だと、
保険の話は後ほど詳しく解説しています。
孤独死に備えて孤独死保険に加入すべき?

通常の住宅総合保険には孤独死した場合の保険は対象にならなケース多く、借主、貸主のどちらとも、通常保険では適応されません。
ですので、借主のご遺族に全額請求するのが一般的です。
泣き寝入りを防ぐために家主のほうで保険に加入することをお勧めします。
ちなみに私は以下の保険に入っていました。
火災の他に、水災・風災・破損・汚損等にも適応されるフルサポートプランに特約として家主費用特約、家賃収入特約の2つ
賃貸住宅内で自殺、犯罪死、孤独死(賃貸住宅に物的損害が発生した場合に限ります)が発生し死亡事故発生日から90日以内に賃貸住宅が空室となり、30日以上続く空室期間または空室期間の短縮のために家賃を値引きしたことによる値引き期間の家賃損失を補償します。また、修復、清掃、脱臭費用等の原状回復のための費用、遺品整理費用等についても100万円を限度に補償します。
たふすまいの保険 家主費用特約
選択されたご契約プランで補償される事故によって、建物が損害を受けた結果発生する家賃の損失を、ご契約時に定めた期間を限度に補償します。
たふすまいの保険 家賃収入特約
この2つの特約がかなりお高め。私はただ、孤独死に対する保証(家主費用特約)のみで十分でしたが、家賃保証特約を付帯しないと付けれなかったので、つけました。
正直、家賃の保証はいいから保険料下げて欲しかったです。泣
保険会社はあいおいの たふすまいの保険です。私のまわりの大家仲間はみんなあいおいがいいって聞いたので、4つ中3つはあいおいにしています。
担当者に、金額と住所と建物の登記簿送れば、すぐに作ってくれて電話一本で契約できるのでいつも助かっております。
正直、家賃保証特約の保険が降りる要件が結構めんどくさいです。
今回孤独死したケースだと、原状回復が終わって、数ヶ月間は空き家になると思うのですが、保険会社から確認される項目として、
- 実際にネットに上げて募集を開始しているのか
- 事故物件としての賃貸募集する際の料金は適切か。
- 他の部屋と比べて下げているのか
物件資料の提出など細かい要件が求められました。
月末になれば、今月も入居者が決まらなかったと、保険会社に連絡し、やっと先月の家賃分が保険会社から振り込まれるそうです。
孤独死に対しての少額保険or特約付帯?
ネットで調べると、通常の火災保険とは別で孤独死の少額保険をおすすめしている方がたくさんいます!
確かに個別で少額で保険をかけれて、一部屋あたり数百円〜で加入できるとありますが、実際は5部屋からしか加入できない!などの条件があり実質的には2~3千円の月額費用が必要になります。
トータルで計算すると、火災保険に付帯する特約とあまり値段が変わらず
少額保険の場合、入居・退去を繰り返すたびに更新するのが面倒で、「それだったら火災保険と一緒に入ってしまえ!」と思い火災保険の特約を選びました。(※火災保険加入当時のことなので今はわかりません)
【1~3戸所有大家】築古戸建に単身入居者の場合は?孤独死保証がある家賃保証会社を選ぶ
戸建の場合、ファミリーが住めば、孤独死する可能性はほぼありませんが、単身の人が住んだら少なからず孤独死のリスクはあります。
戸数がすくなく、少額の孤独死保険にも入れないし、特約をつけると余裕で家賃の1ヶ月分はとぶ。なんてことも多いと思います。
色々選択肢はあると思うのですが、私が思うコスパの良い方法は「孤独死保証がある家賃保証会社を選ぶ」ということです。
もちろん、通常の保証会社の手数料と比べて、借主、貸主の負担が多少増えるかもしれませんが、1〜3戸ほど戸建を所有されている方で、単身の方を入居させる場合良いのかもしれません。
家主ダイレクトであれば、大家より保証会社の申込ができ、孤独死保証がある家賃保証会社となります。
特殊清掃とは別で、家賃損失分の請求する場合も?
不動産屋に相談した時に聞いた話ですが、原状回復費、ハウスクリーニング費用とは別で事故物件となったことで損失する家賃を請求する大家さんもいるそうです。
むか〜しからある不動産屋に相談してみたのですが、死因によって、家賃の〇〇ヶ月分と決めている管理会社などもあり、自殺の場合ですと家賃の24ヶ月分、老衰などの自然死の場合などは半年分などを請求するの家主もいるそうです。
私の場合は、家賃収入特約に入っていたので特に請求しませんでしたが、これらはすべて家主の判断となります。
何十万円を請求するか、しないかを数日で判断しなければいけなかったので、家主としてもストレスが半端なかったです。
【選択肢の一つとして】数年間は倉庫として利用する
▼特殊清掃業者とお話しした時のことで記録に残しておきます!
死後何日か経った時点で孤独死が判明した場合で、その部屋は心理的瑕疵の告知義務が発生します。今回でいうと、老衰なので特記事項に「自然死」というような突起事項が追加されます。
いわゆる事故物件です。
現在他の部屋も空室があり、他の部屋が埋まるまで募集はせずに倉庫として一定期間使い、他の部屋が全て埋まったら入居募集を開始する家主さんもいるそうです。
2〜3年、または次の入居者が退去するまでは告知義務が発生するので、
同じアパート内の部屋の募集する際に
「この部屋はやけに安いけどなんで?」
「よくみたら事故物件あるやんけ、同じアパートに住みたくないわ〜」となると、いけないのでしばらくは事故物件の募集は再開せずに、倉庫としてしばらく使う家主もいるとのことです。
また追記します。
質問等あればDMください。
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